「罪と罰」27(1−4)

 彼は突然我に返り、立ち止まった。

 《有り得ない?でもお前は一体どうするつもりなんだ、これをなしにするために?禁じる?だがどんな権利を持っているというのだ?お前は二人に自分からは何を約束してあげられるというのだ、そうした権利を持つために?己の全運命を、未来のすべてを二人に捧げる、課程を修了し、職を得た際には?その話は聞いたとも、でもそんなのは当てにならない、じゃあ今は?だってこの場合まさに今何かをしなければならないんだぜ、お前はそれを理解しているのか?でお前は今何をしている?まさにその二人を騙してすっかり巻き上げているところさ。だって二人にとってその金は100ルーブルの年金とスヴィドリガイロフ家での仕事を担保にやっと手に入るものなんだからな!スヴィドリガイロフ家から、アファーナシー・イヴァーノヴィチ・ワフルーシンからお前はどうやって二人を守るんだ、未来の億万長者さんよ、ゼウスよ、彼らの運命を自由にできるんだろ?10年経ったら?10年もすりゃ母がネッカチーフのせいで目が見えなくなるのは間違いない。もしかするとそれは涙のせいでもあるかもしれん。それから節制のせいで体が弱くなる。それじゃ妹は?まあちょっと考えてごらんよ、10年後あるいはこの10年で妹の身に何が起こるか?想像つくかい?》

 そんな具合に彼は自分を苛み、こうした自問で自分をからかいそそのかしていたのだが、そこにはある種の喜びすら伴っていた。だがこれらの問いは全て新しいものでも不意に浮かんだものでもなく、古くから存在していたもので、ずっと以前から心にうっ積していたものであった。それらが彼を苦しめ出し、その心をぼろぼろにしたのはもうずっと前のことである。今日のこれら全ての憂鬱が彼の中で生じ、肥大し、堆積していったのははるか昔のことで、最近では熟して濃縮され、ぞっとするような奇妙で空想的な問いの形を取るようになっていた。その問は抗い難い力をもって解決を迫り、彼の心と頭をへとへとにしてしまったのである。まさに今、母の手紙は雷のような衝撃を突然彼に与えた。はっきりしているのは、今は問題が解決できないことについてああだこうだ言うだけで滅入ったり、受身になって苦しんだりしている時ではなく、確かに何かしらを行動に移さなければならない、それも今すぐに、それもできるだけ早く、ということであった。どんなことがあっても決意しなければならなかった、少なくとも何かしらを、あるいは・・・。

 《あるいは人生を完全に諦めてしまうかだ!――突然彼は無我夢中で叫んだ――おとなしく運命を受け入れる、そのあるがままに、断固として、そして己の中にあるすべての息の根を止めてしまう、行動し、生き、愛するあらゆる権利を放棄して!》

 《お分かりになりますか、どうでしょう、旦那様、もう他に行くところがないということが何を意味するか。――突然昨日のマルメラードフの問いが思い出された――と申しますのは、どんな人にだってどこでもいい、出かけられる場所がなければならないじゃないですか・・・》

 突然彼は身震いした。ある考えが、これもまた昨日の考えであるが、再び彼の脳裏をかすめたのだった。だが彼が身震いしたのはその考えが脳裏をかすめたからではなかった。彼は知っていたのだから、予感していたのだから、それが間違いなく《脳裏をかすめる》ということを、そしてそれをすでに待ち構えていたのだ。それにその考えは昨日のものとは全然違っていた。とはいえその違いは、一月前いや昨日でさえまだそれは単なる空想だったのに今は・・・今は突然空想ではなく、ある種の新しい、恐るべき、彼に全く馴染みのない形を取っているということだった。彼は突然それを確かに認識した・・・彼は頭に血が上って目の前がまっ暗になった。