2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「罪と罰」11(1−2)

「旦那様」彼は厳粛と言ってもいい調子で切り出した。「貧乏は悪徳ではない、これは真実です。私は知っております、飲酒もまた美徳ではありません、そしてこちらにはより一層真実が含まれております。ですが赤貧は、旦那様、赤貧は悪徳でございます。貧乏で…

「罪と罰」10(1−2)

ラスコーリニコフは人だかりに慣れておらず、すでに述べたようにあらゆる付き合いを避けていた。特に最近はそうだった。しかし今回は突然何かが彼を人々の方へ引き寄せた。何かが彼の中で起きた。それはまるで今までに経験したことのないような何かだった。…