2023-01-01から1年間の記事一覧

罪と罰91(3-1)

ラスコーリニコフは起き上がるとソファの上に腰かけた。 彼はラズミーヒンに対し軽く手を振った。母と妹に向けられた彼のとりとめのない、熱い慰めの言葉の奔流を制止するためである。そして彼ら二人の手を取り、二分ばかり黙って、ある時は一方の、またある…

罪と罰90(2-7)

ラズミーヒンを見つけ出すのは訳なかった。ポチンコーフの建物の新たな借家人のことはすでに知られており、屋敷番はすぐ彼に行き方を教えてくれた。すでに階段の途中から、大人数の集まりのざわめきと活気あふれる声を聞き分けることができた。階段に面した…

罪と罰89(2-7)

「あー、神父様!言葉はしょせん言葉なんじゃないですか!許すって!やっぱり彼は今日酔っぱらって帰って来たでしょうよ。轢かれてなかったら。着てるシャツが唯一ので、そこら中擦れ切れてて、ぼろぼろもいいとこ。あんな風になすべきこともせず横になって…

罪と罰88(2-7)

「なんてこと!あの人の胸がすっかりつぶれちゃってる!血が、血が!」絶望して彼女は言った。「上着を全部脱がさないと!ちょっと回って、セミョーン・ザハローヴィチ、もしできるなら。」彼女は彼に大声で言った。 マルメラードフは彼女を認識した。 「司…