2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「罪と罰」4(1−1)

通りは猛烈に暑かった。それに加えてむんむんする熱気、人混み、至る所にある漆喰、建築用の足場、レンガ、ほこり、それに別荘を借りることのできないペテルブルク人であれば誰でも知っているあの独特な夏の臭気、――こうしたものが一斉に、それでなくてもす…

「罪と罰」3(1−1)

《何という大それたまねをしようとしているのだ、それでいながらなんというつまらないことを恐れているのだ。》奇妙な笑みを浮かべながら彼は考えた。《うむ・・・そうだ・・・すべては人の手の中にある、それでいてそのすべてをものにできないのは、ひとえ…