《何という大それたまねをしようとしているのだ、それでいながらなんというつまらないことを恐れているのだ。》奇妙な笑みを浮かべながら彼は考えた。《うむ・・・そうだ・・・すべては人の手の中にある、それでいてそのすべてをものにできないのは、ひとえに小心のためなのだ・・・これはもう自明の理だ・・・興味深いのは、人間が何を最も恐れているかということだ。新しい一歩、新しい自分自身の言葉を、彼らは何よりも恐れている・・・それにしても俺はしゃべりすぎているようだ。俺が何もしないのはしゃべってばかりいるからだ。まあもっともこんなふうにも言えるのか。つまりしゃべってばかりいるのは何もしないからだ、と。そのおしゃべりがここ一月で身に付いてしまった、何日間も部屋に寝っ転がって考えているうちに・・・ありもしなかった古き良き時代について。いったい俺は今何のために出かけていくのだ。本当に俺はあれができるのか。あれを本気で?そんな馬鹿な。そうだとしたら夢物語のために自分で自分を満足させているのだ。茶番だ。うん、茶番にすぎないのかもしれん。》