2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「罪と罰」9(1−1)

ラスコーリニコフはすっかり動揺して出てきた。この動揺はますます強くなっていった。階段を下りながら彼は何度か立ち止まりさえした。それはまるで何かに急に打ちのめされたかのようであった。そしてとうとう、すでに往来に出た後であったが、彼は叫んだ。 …

「罪と罰」8(1−1)

青年の入った小さな部屋は、黄色い壁紙で、ゼラニウムが置かれており、窓にはモスリン製のカーテンがかかっていた。そこはこの時夕日に明るく照らされていた。《ということは、あの時も同じように日が差しているだろう!・・》――不意にラスコーリニコフの脳…