2018-01-01から1年間の記事一覧

「罪と罰」67(2−4)

「彼もお前の何かしらの親類なのかい?」 「最も遠いところのその類さ。でもなんでしかめ面してんだ?そりゃかつて君らが仲違いしたから行かない、ということかい?」 「彼のことなんて知ったこっちゃないさ・・・」 「なら何より。そんで来るのは学生に、先…

「罪と罰」66(2−4)

ゾーシモフは背の高い肥満した男で、その顔はむくみ、精彩を欠いて青白く、髭はつるりと剃り上げられ、髪は白くてストレート、眼鏡をかけており、脂肪でふくれた指には大きな金の指輪がはまっていた。年齢は27歳くらい、ゆったりとした粋な軽いコートに淡…

「罪と罰」65(2−3)

彼は包みを解き始めたのだが、どうやらそれに非常に強い関心を持っているようであった。 「これなんだよ、ロジオン、信じられるかい、俺の心の中に特別にあったものは。なぜってお前を人間にしてやることがどうしたって必要だろ。始めましょうか、まずは上の…

「罪と罰」64(2−3)

誰かが入って来たのを耳にして彼は覚醒した。目を開けるとラズミーヒンがいて、ドアを開け放して敷居の上に立ち、入っていいものかどうかためらっていた。ラスコーリニコフはベッド上で素早く上体を起こし、彼の方を見た。それはまるで何かを思いだそうと努…

「罪と罰」63(2−3)

彼女の後ろでドアが閉まるや否や、病人は掛かっていた毛布を取り、まるで狂人であるかのようにして寝床から飛び起きた。彼は焼けるような発作的な焦燥を抑えつつ、彼らが一刻も早く出て行くのを待っていた。彼らがいなくなったところですぐさま事に取り掛か…

「罪と罰」62(2−3)

ラズミーヒンは借用証書を取り出してテーブルの上に置いた。ラスコーリニコフはそれに一瞥をくれると一言も発せず壁の方を向いてしまった。これにはラズミーヒンも不快になった。 「分かってるぞ、ロジオン」彼は1分後に口を開いた。「またブチ切れて馬鹿な…