「罪と罰」68(2−4)

 「ところで分かってるかな、ラズミーヒン?君について言わせてもらうがね、世話好きにもほどがあるぜ。」ゾーシモフが指摘した。

 「それならそれでかまわんさ、でもやっぱり助け出そう!」テーブルを拳でごつんとやってラズミーヒンが叫んだ。「この件で一番腹立たしいのは何か?彼らが嘘をついているってことじゃない。嘘はいつだって許すことができる。嘘なんて可愛いもんさ。なぜって真実へ導いてくれるだろ。そうじゃなくて、腹立たしいのは、嘘をついてしかも自分自身の嘘に頭を下げてしまっていることなんだ。俺はポルフィーリーのことは尊敬している。だけど・・・例えば、何が彼らをいきなり躓かせたか。ドアは鍵がかかっていた。だが庭師と戻って来てみたら開いていた。ふむ、つまりコーフとペストリコーフが殺害したんだ!こんなのが彼らの論理なんだぜ。」

 「そう熱くなるなよ。彼らは拘留されただけだろ。できるはずもないさ・・・ついでながら言っておくが、俺はそのコーフに会ったことがある。彼が婆さんのとこで期限切れの物を買い占めに来ていたのが明らかになったんだろ?どうなんだい?」

 「その通り、詐欺師みたいなもんさ!彼は手形も買い占めているんだ。プロなのさ。そんな奴のことなど知ったことか!俺はある事に対して腹を立てているわけなんだが、お前にそれが分かるかい?連中の老いさらばえた、低劣極まりない、旧態依然たるそのやり方に怒りを覚えるのさ・・・だがどうしてどうして、この件一つに関しては全く新しい道が開けるのさ。心理学的な根拠によってのみ、真実の跡に続く進むべき道を示すことができる。“我々は事実を手にしている!”と言っているが、事実が全てじゃない。少なくとも事の半分は、事実をどう扱うことができるかという点にかかっているのさ!」

 「それでお前さんは事実を扱えるのかい?」

 「だって黙っていることなんてできないだろ。力になれるかもしれないと感じて、なんとなくだけど感じている時にさ、もしかすると・・・くそ!・・お前は事の詳細を知ってるのか?」

 「染色工についての話を待っているんだがね。」